https://zenn.dev/dowanna6/articles/8b7923cf261065

どうも。株式会社プラハCEO兼エンジニアの松原です。

弊社はメンバー全員が業務委託なのですが、転職のお誘いをする際に「今は正社員に絞って探していて...」と言われることが結構多いので、業務委託契約をあえて選択している企業側の観点をどこかにまとめておいたら今後のエンジニアのキャリア選択に役立ててもらえるのではないか? と考えつつ、もしかしたら読んでくれた人が興味を持って応募してくれるかも、という下心も込めてキーボードを叩いています。

ただ大前提として、人や会社によって最適な契約形態はそれぞれ異なるので、今回はあくまでプラハという会社にとってなぜ業務委託契約が適しているのか、という観点に絞って話していくので「そういう考え方の会社もあるんだ」ぐらいに留めていただけたら幸いです。決して業務委託契約が全ての状況で雇用契約を回るバラ色の契約形態だと言いたいわけではないよ!

社風や理念との合致度

プラハが最も大事にしているポリシーは「社員を大人として扱うこと」です。

人間が仕事にモチベーションを感じるためには一定の自律性(自分で物事の進め方を決められること)が不可欠である、といくつかの書籍に書かれていたり、僕自身も過剰に管理されると「こんなに子供扱いして...信頼されてないんだろうな」と感じて仕事に興味を失うタイプだったこともあり、過剰な管理は避けたいと創業当時から考えていました。

弊社は新規事業やスタートアップに特化してソフトウェアをデザイン・開発する集団なのですが、そもそもクライアントが我々に求めているのは8時間働くことではなく価値を生み出すソフトウェア・デザインを作ることです。成果を出せていないのに「でも私は毎日8時間も働いたんですよ!」と主張するのもおかしいし、逆に十分な成果を出せているのに「毎日きっかり8時間働け!」「この機能を作ってから退勤しろ!」と管理するのも生産性を高めるインセンティブが失われてしまうので、同様におかしいことだと思うんですよね。

ちょっと話はそれますが、エンジニアに対して「今はテストを書かないで機能を作れ」とPMが指示するのも僕は正直あまり好きではなくて。事業上の事情をエンジニアに伝えて、同じ情報を持った上でチームとして判断していくのは大歓迎なのですが、エンジニアが「テストを書いたほうが速く作れて早く成果を出せる」と判断したのであれば、それはプロとして任せるべきだと思うので...

求めるのは成果だけで、その実現方法は全て任せるのがプロに対しての適切な接し方だと僕は考えているため、プラハというものづくりのプロ集団には成果だけを求める業務委託契約が理念的に合致していると考えました。

もちろん成果主義は責任と表裏一体なので成功も失敗も自分に責任があります。「俺にまかせろ!」と言う以上、失敗した時は全ての責任を負う必要があるので、限りなく成功率を高めるためにプロとして日々研鑽を積む義務が付随しますが、その先には周囲から尊敬と信頼を得て自律的に働けるプロフェッショナルとしての未来が待っているので、決して辛いだけの道ではないと僕は考えています。

どこにお金をかけるか

プラハは会社としてシンプルな経営を特に意識していて、例えば営業担当が居ません。

弊社が特化しているスタートアップ界隈は非常に狭く、良い評判も悪い評判もあっという間に広がるので、質の高いものづくりを心がけていればインバウンドやリファラルだけで十分お仕事を頂けます。仲介サイトの費用などの営業コストが一切かからないぶんメンバーの報酬に多く還元できるので、採用母集団が広がる→優秀な方と出会える確率が上がる→良い仕事の評判が広がる→次の仕事に繋がる...という中間コストの少ないシンプルな経営を目指しています。

会社をできるだけシンプルに保ちたいと考えたとき、雇用契約は管理や手続きが複雑なため中間的なコストが増えがちです。業務委託であれば必要なのはクラウドサインの利用料ぐらいなのでめちゃくちゃシンプル。事務処理能力の低さに定評のある僕ですら100人ぐらいまでは問題なく契約周りを管理できる気がする。

中間コストにお金をかけるよりメンバーの報酬に回したい。なぜならメンバーの質が会社の生存に直結するから。という非常にシンプルな仕組みで成り立っている会社なので、できるだけ管理コストがかからない業務委託契約が自然と選択されました。

給料をあげやすい

雇用契約では減給幅が前年の1割までと決まっているので、雇用契約だとそこまで急激に社員の給料を下げられません。と書いてしまうと「おいおいこの社長下げる前提で考えてるやん」と思われるかもしれませんが、いつでも下げられるからこそ気軽に上げられるわけで、下げられないと逆に上げられないんですよね。

(僕は日本の低賃金問題は中小企業比率と同じぐらい、解雇と減給のしづらさゆえに採用も昇給も阻んでいる雇用契約に原因があると考えていますが、これは長くなるので割愛して...)