https://note.com/miin_nft/n/n539724ca1e6b

NFTが持つメリットの一つとして語られてきた「アートやデジタルアイテムを販売したクリエイターへ二次流通の手数料の一部が還元され続ける」ということ。つい最近まで、実質的にほとんどの売買でロイヤリティが支払われクリエイター側の収益となっていました。しかし、ロイヤリティ支払いをスキップできるNFTマーケットプレイスが登場し、使用するユーザーも増加。いま、この神話は崩れつつあります。

■NFTのロイヤリティの仕組み

ロイヤリティはNFTを成立させるコード(スマートコントラクト)上で規定されているものではなく、マーケットプレイスと呼ばれる、NFTの販売サービスによって執行されてました。

消費者庁 資料「NFTの動向整理」 より

NFTを発行したことがある方は体験しているかとおもいますが、NFTを販売するマーケットプレイスごとにロイヤリティや支払先の口座を設定する必要があります。一部のマーケットプレイス同士では、ロイヤリティの設定について自動的に共有される仕組みもあります。

■ロイヤリティをスキップするマーケットプレイスの登場

NFTの取引にロイヤリティをスキップする仕組みが導入され、最初に話題になったのな22年8月のこと。マーケットプレイスではなく、自動取引所「SudoSwap」でした。これは1点ものアートではなく、数百~数万点を発行するコレクションに特化しユーザー同士でNFTの交換や自動売買をおこなうサービスでした。DeFiのように交換から派生したサービスであり、取引にロイヤリティは発生しません。

sudoswap

続いて、22年9月に中堅のNFTマーケットプレイス「X2Y2」がロイヤリティ支払いを選択性にする"フレキシブルロイヤリティ制"を導入。NFTホルダーは出品時にロイヤリティを支払うかどうかを購入者に任せるか、0%にするかを選択できるようにしました。実際、購入者のうち72%はロイヤリティの支払いを拒否する道を選びました。

X2Y2の出品画面。ロイヤリティを支払うかどうか選択可能

そして、22年10月。MagicEdenやLooksRareほか他のマーケットプレイスもこの動きに追随しロイヤリティをゼロに。あたらしくローンチされ人気となっているBlurはデフォルトではロイヤリティが発生しない仕組みとなります。

■市場の流れ

こうして、ロイヤリティが発生しないNFTの取引が増えていきました。特に11月にはいってから、Blurでの取引が増え、遂にずっと首位であったOpenSeaを凌駕する取引量で事態となりました。

Macro Data by @punk9059

■OpenSeaが方針発表

市場の動向を受けて、11/7にOpenSeaがロイヤリティについての方針を発表。NFTを構成するコード(スマートコントラクト)でロイヤリティを強制する方向を示しました。OpenSeaはロイヤリティが発生する世界を支持しています。

①ロイヤリティ支払いを強制するためのコードをgithubで公開②このコードにはX2Y2やBlurなどロイヤリティをスキップするマーケットプレイスでの移転の禁止等が含まれている③11/9以降に新規発行されるコレクションは、このコードを含まない場合はロイヤリティを設定できなくなる■具体的にロイヤリティの設定はどうなるのかNFTを独自コントラクトで発行の場合・既に発行済:12/8までは徴収可、以降は検討中・11/9以降:コードをいれれば手数料を徴収可OpeSeaの共用コントラクトで発行の場合・既に発行済:どうなるかわからない・11/9以降に:現状、手数料の徴収は不可OpenSeaBLOG(https://opensea.io/blog/announcements/on-creator-fees/)