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生産者の課題と、株式会社ビビッドガーテンの取り組み

西尾慎祐氏:「アウトカム思考なプロダクト開発を実現する組織作り」というテーマで、私たちの組織や開発チームがどういう体制でやっているかという話ができればと思っています。私は、株式会社ビビッドガーデンでCTOをしている西尾です。よろしくお願いします。

まずはその前に、私たちの会社がやっていることを紹介します。ビビッドガーテンは「食べチョク」というサービスを運用しています。一次産業の課題を解決する会社として、今は「生産者の”こだわり”が、正当に評価される世界へ」をビジョンに掲げプロダクト開発に取り組み、「食べチョク」というこだわりの生産者が集うオンライン直売所を運営しています。

私たちは農家さん・漁師さんの課題を解決しようとしていますが、日本の9割の農家さんはすごく小規模で、農業に従事する人口はすごく減っています。それはニュースとかでもよく聞く話だと思います。それはなぜかというと、やはりなかなか儲からない現状が課題のひとつとしてあります。

農家さんは、すごくいいものを作っても、あまり販路がありません。「ニンジンはこの値段」などのように既存の販路ではあらかじめ価格が決められているので、すごくいいものをこだわって作っても、結局売れる価格は同じだったりします。そうなると、いかに大量に作るかという勝負になりますが、小規模な農家ではなかなか難しいという課題があります。

そこで、すごくいいものを作って適正な価格で(売れる)。がんばっていいものを作ったら、その分適当な価格で売れるプラットフォームを作って、一次産業や農業が儲かるために私たちにできることがあるのではという思いでプロダクトを作り、「食べチョク」というサービスを運営しています。というのが、我々のサービスの紹介になります。

会社名はビビッドガーデンですが、現在はプロダクトは1つで、「食べチョク」を運営しています。私たちの置かれている状況としては、ここ2年で「食べチョク」の利用者や流通額、生産者がすごく増えています。

流通額はこの2年で128倍くらいに増えている。登録ユーザーも増えているし、生産者さんも2022年5月時点では7,000軒と書いてありますが、今はもうすぐ7,500軒に届くくらいに増えています。

私たちはスタートアップなので、前提として短い期間での非連続な成長が常に求められています。2年前はエンジニア数名で開発をしていましたが、今は40名くらいで、短い期間で大きな成長を求められている会社です。

株式会社ビビッドガーテンが重要視している「アウトカム」

私たち開発チームがすごく大事にしていることをひとことで言うと「アウトプット(結果)ではなくアウトカム(成果)を重視して、プロダクト開発を進める」です。

アウトプットやアウトカムについて一応ちょっと補足します。ここで指しているアウトプットとは、例えば、「今月は20件新しい機能を作りましょう」とか、「ストーリーポイントの消費を何ポイント上げましょう」という目標。目標というか、作った結果みたいなところがアウトプットです。

もちろんこれはすごく重要な指標だと思っていますが、開発チームが追っていく目標の最終的な結果が「とにかくたくさん開発する」「この機能をいっぱい作りました」になってはいけないと思っています。

それではなくて、私たちが追うのは、その機能を作ったことによってどんな影響があったのか、また、お客さんにどんな体験を提供できて、それによってどんな数字が上がったのか。最後はそれらをちゃんと追わないといけない。この成果をアウトカムと言っています。例えば、「カートの利用率を何パーセント改善して、どういう体験を提供できるか」というアウトカムを意識して開発することを、私たちのチームでは大切にしています。

「アウトカム」を重視する理由

重視する理由はすごく単純というか、新しい機能を作ってデリバリーするだけでは成長が難しいフェーズにきていると我々は思っています。

事業の初期のフェーズ、例えば、我々でいうと2020年よりも前の時が事業の初期フェーズでしたが、プロダクトとして足りないものがたくさんありました。

「これを作ったら明らかに数字が伸びるだろう」というものがすごく明確だった。こういう時は、いかに早くデリバリーできるかがとても重要です。何もないので早く作って早くリリースしたら成果が出るのが、初期のフェーズだと思っています。